シシ垣ネットワーク

   〜あなたの住んでいるところに、シシ垣は残っていませんか?


シシ垣とは

一般には、シシ垣はほとんど無名で、知っておられる方は、かなりの通であるということになります。
一体、シシ垣とは何なのでしょうか?

シシ垣は、漢字で「猪垣」、「鹿垣」、「猪鹿垣」と書きます。我国では、古くからイノシシ、シカ、 カモシカといった肉がとれる獣類のことを「シシ」と言いました。これらの獣は山間の住民にとって貴重なタンパク源で ありましたが、一方でイノシシやシカは、田畑の作物に多大な被害をもたらす獣でもありました。シシ垣(猪垣、鹿垣、 猪鹿垣)は、これらの獣が田畑に侵入しないように築かれた垣のことなのです。

シシ垣には、木や竹などを組んだもの、石を積み上げたもの、土を積み上げたもの、自然の地形を 利用したもの、落とし穴を設けたものなどがあり、江戸時代には長さが10qを超える大規模なものが構築されました。 そのようなシシ垣は、まるで「万里の長城」です。

大規模で恒久的なシシ垣は、石を積んだり、土を積んだりして造られました。石が多い所では、 花崗岩、玄武岩、安山岩、石灰岩、砂岩など、それぞれの場所で手に入る石が使われました。沖縄では、サンゴも活用 されました。石積みのつぎに恒久的なものは、土積みのシシ垣です。

主として江戸時代に築かれた大規模で恒久的な石積みや土積みのシシ垣は、今もその遺構を見ること ができます。しかし、このような大規模なものの他に、木や竹などを組んだ比較的簡易なシシ垣も無数にありました。 それらは今、朽ち果てて残っていないだけなのです。

これらすべてのシシ垣に、当時の人びとの獣との攻防が生々しく刻まれています。そして、そこから 当時の人びとの生々しい生活の息づかいが聞こえてきます。


シシ垣の価値

シシ垣には獣害に対処した農民の生活史が深く刻まれていて、地域の財産として極めて貴重です。 歴史的・文化的に貴重であるとともに、地域の子供たちの郷土学習、総合学習、環境学習の教材にもなります。

また、今日のイノシシやシカなどの農作物被害対策において、シシ垣にみられる先人の知恵や団結力に 学ぶことも多いのです。

エコミュージアムやエコツアーの対象にもなります。地域住民にとっても来訪者にとっても、シシ垣の ある場は貴重な学びの場、感得の場となります。

貴族や武士などにかかわる古墳や城などの遺構は脚光を浴びてきましたが、農民の遺構であるシシ垣は、 これまで注目度は低いものでした。しかし、シシ垣には高い価値があり、その保存と活用は重要です。

シシ垣ネットワークは、このような問題意識を持ち、毎年各地のシシ垣遺構が残るところで 「シシ垣サミット」を開催しています。

シシ垣やシシ垣をめぐる活動に関心がある方は、ぜひこのシシ垣ネットワークに参加し、情報交換を はかっていただきたいと思います。

ネットワークへの参加やシシ垣に関する情報は下記の事務局まで、メール・お手紙などでお寄せください。


【シシ垣ネットワーク事務局】

代表 高橋 春成

Eメール:


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